JSPS事業説明会@SEUCO 報告(2011年8月 実施)

更新日:2012/06/06

日時: 2011年8月11日
会場: ナイロビ大学南東分校(SEUCO; The South Eastern University Collage, Kitui)
参加者: 同校若手研究者、教授など約30名

ナイロビから東に100kmあまり、移動時間にして自動車で半日、Kituiという半乾燥地域に位置するSEUCOは2008年設立の新設大学で、現在のところナイロビ大学の南東分校という位置づけである。農学系、環境学系、コンピューター・情報学系などが中心だ。今回は、同校副学長をつとめ、東部アフリカJSPS同窓会役員でもあるFransis Mathooko教授のたっての希望により、同校にてJSPS事業説明会を実施した。

ナイロビ研究連絡センターからはセンター長の白石、そして事務補助員として秘書のGabriel Ekalaleが参加した。また、Egerton大学から同窓会員のAlexander Kahi教授が同行した。

事業説明会の場は、同校の若手研究者と教授たちの参加する全学セミナーとして、あらかじめ周知され集まった面々が参加した。セミナーはまず、Fransis Mathooko教授が挨拶とセミナーの趣旨説明をおこない、次いで白石がJSPSリーフレットを参加者に配布したうえで、JSPSの海外事業の概要をPower Pointを使用して解説した。後半は、Alexander Kahi教授が自らの日本でのポスドク体験(外国人特別研究員)をPower Pointを使用して講演したあと、全体での質疑応答と議論という構成だった。

白石による事業説明では、JSPSの海外事業各プログラムの目的と主旨はわかりやすく、意義のあるものだという感想を得たものの、申請するさいの条件や手続き、助成額など、詳細情報に属するものではあるが申請者にとってはきわめて重要な情報について、聞き漏らした点や不明な点について質問が集中した。この点で、配布したリーフレットはおおいに助けになったし、わかりやすいと評判がよかった。

また、Alexander Kahi教授によるポスドク体験講演では、みずからの専門である育種学(畜産学の内)について、大学での実験のようすや日本でのフィールド調査の内容がスライド写真をふんだんに交えながら語られ、参加者の興味をじゅうぶんに惹いていた。また、ポスドク滞在中に数十本の共著論文を公刊し、その業績があったからこそ現在の自分がいる、という点について、日本の大学の研究室がケニアとちがって若手や大学院生でも研究に専念できる環境が整っていたこと、また研究室メンバーが自主的にそうした環境を整えようとていたことを力説した。かれは、帰国して自分の研究室をもつにあたり、日本で学んだそうした雰囲気をつくるよう努めていると言う。この話には私も聴き入ってしまい、事業説明会にこうした経験者の講演をともなわせる意義を再確認した。

セミナー終了後は、SEUCOの構内の視察をおこなった。居住人口密度の低い半乾燥地に位置する広大なキャンパスに新しい研究棟や講義棟が建てられ、実験農場がみられ、学生寮も建設中である。入学を希望する学生数は増えているが、周囲に下宿できるところがないために、学生寮の建設は必須なのだという。Alexander Kahi教授が視察のおりにつぶやいた「これはまさに『University from nothing』とでも呼ぶべき開拓者精神だ」という言葉、スクールバスの車体に記された同校のモットー「Arid to Green(乾燥地を緑に)」という言葉が印象に残った。

(白石 壮一郎)

【写真1】半乾燥地にそびえ立つ大学正門

【写真2】Alexander Kahi教授の講演を聞く参加者たち

【写真3】左よりFrancis Mathooko副学長、Kahi教授、白石

 


 

【リンク】 SEUCO; The South Eastern University Collage

COPYRIGHT © 2012 Japan Society for the Promotion of Science, Nairobi Research Station AllRIGHTS RESERVED